人でたどる美術史〜セザンヌ編〜
2015年05月27日(水)19:00-21:00 (受講料:2000 学生1000円)
もっと美術を知りたい、なぜ目の前の作品が評価されているのかを知りたい、
そう考えて分厚い美術史の専門書や入門書に手を伸ばしても、
聞きなれない用語や、次々と関連する人や作品が出てきて、なかなか理解が難しい部分があります。
では、作品を中心に学ぶのではなく、
作家そのものにフォーカスしてみるとどうでしょう?
どんな暮らしをして、何を見て、何に影響を受けて
どんな想いを作品に込めていたのか......。
作品とともにある、ひとりの人が"作家"として歩んだ生き方には
作品への理解以上に、学べるものがあるのではないでしょうか。
今後さまざまな作家を取り上げるシリーズ講義第1回目は、
"現代絵画の父"として、20世紀の芸術家に多大なる影響を与えた
画家・セザンヌを掘り下げます。
講師にお迎えするのは、
『セザンヌの食卓 いろとりどりの林檎たち』(講談社)著者であり、
フリーキュレーターの林 綾野さん。
『セザンヌの食卓 いろとりどりの林檎たち』(講談社)
林さんはセザンヌが描いた場所を網羅し、暮らした場所を訪ね歩き、
かつてセザンヌが見て描いた場所をその目で見て、体験されています。
林さんがはじめてスザンヌと出会うきっかけとなった
《リンゴとオレンジ》。強い衝撃を受けた林さん。
説明するたくさんの言葉があっても、どれもその衝撃と結びつかず、
なかなか埋まらない画家との溝を埋めるために
描かれたモチーフに実際に接近し、
さらにセザンヌの食や趣向にも踏み込んでいったそう。
林さんが尋ねたセザンヌが生まれたエクス・アン・プロヴァンス。
町中にある縁の場所をめぐり、生家・中学・結婚式を挙げた教会や
妻子が暮らした家も。
静物画に登場するモチーフが並べられたアトリエ。
セザンヌがお気に入りの場所だったというシャトー・ノワール。
ここからサント・ヴィクトワール山が見渡せる。
林さんの興味はセザンヌの"食"へも向けられます。
著書にはセザンヌが好んだという「ジャガイモのソテー」レシピも。
専門書では読み取ることができない、
作家の息づかいを感じ、その暮らしを紐解くことで見えてくる
セザンヌの美術史をナビゲートしていただきます。
ちなみに、4月4日(土)〜9月27日(日)まで
ポーラ美術館では『セザンヌ―近代絵画の父になるまで』を開催中です。
http://www.polamuseum.or.jp/sp/cezanne_2015/
セザンヌの生き方そのものを知ると、
作品の見え方もまた変わってくるはず。
ぜひ、本レクチャーを聴講された後に展覧会で
実際の作品と対面することもオススメします!
林 綾野(キュレーター)( 講師紹介 )
近代絵画の父と言われ、ピカソやゴーギャンなど、多くの画家に慕われたセザンヌ。故郷、南フランス、エクサンプロヴァンスの地を愛した彼は、食事に対してもこだわりを持っていました。南フランスでの暮らしぶりや家族との関係を紐解きながら、画家セザンヌを少しでも身近に感じていただければと思います。 |