【坂野充学個展関連企画】オープニングトーク「鷲田めるろ × 坂野充学」
2012年10月14日(日)16:00-17:30 (受講料:学生共に1,000円)
「坂野充学 個展 VISIBLE BRETH」のオープニングトーク!
ゲストに 金沢21世紀美術館キュレーター・鷲田めるろ氏登場!
金沢21世紀美術館からキュレーター・鷲田めるろ氏を迎え、アートプロジェクトや伝統芸能の伝承と変化、また本作品に至るプロセスなどを中心に対談し、映像の可能性について考察します。
鷲田氏から飛び出す映像批評や、坂野氏から語られる作品制作秘話など、貴重な機会となります。必聴です!
1ドリンク付きのスペシャルイベントです!
「坂野充学 個展 VISIBLE BRETH」特設サイトより
交差する時代・変容の物語
坂野充学は、ロンドンでファインアートを学んだ後に帰国、3331 Arts Chiyoda の運営に携わりながら、作家活動を続けてきた。2008年より、伝承をテーマにしたプロジェクトに取り組んできた坂野は、やがて自身が生まれ育った石川県白山市鶴来(旧鶴来町)へとたどり着く。地元の蔵を改修したスタジオを構え、鶴来内外の協力者を募りプロジェクトチームを形成し、実に4 年がかりで完成させたのが本作「VISIBLE BREATH」である。
生活に溶け込んだ地元の祭りや風習、文化。当然のように受け入れ、自身の体に染み込んだそれらは、一体どこからきたものなのだろうか。こうした疑問から時代を遡り、同地での文化形成の記憶を紐解いていくなかで、地元の民俗学研究者・村西博二※との出会いが制作活動に大きな影響を与えた。地元の民俗学"研究者"である村西が語る物語は、鶴来という地域を超えて日本の神話、渡来人のルーツなど数千年の歴史に及ぶスケールを持つ魅力的な"フィクション"だった。
本作では、村西の語りや伝承、坂野自身のフィールドワークをもとに、古代から現代まで5つの異なる時間軸でそれぞれの物語が展開される。渡来してきた者たち、製鉄文化の伝播、神秘的な自然の変化など、5 つのスクリーンに映し出される物語は「現代/未来」に照応され、ときに呼応しながら進んでいく。豊かな自然に育まれ、また白山信仰のもと海と山を繋ぐ交易の街として栄えてきた鶴来。習わしや文化は受け継がれ、変容し、時を超えていく。その"息づかい"を感じ、営みの軌跡をたどることで、土地、人、時が交わり、重なり合う。それらが織りなす多層的な世界から聞こえてくる息づかいに、私たちは何を想像し、どのような物語を語り継いでいくのだろうか。
※ 村西博二(むらにし・はくじ)
石川県白山市鶴来在住の民俗学研究者。大陸文化の色濃い古代能登、一時代を画した白山信仰、郷土の古代を中心に研究を行う。また、地域の歴史・文化・自然・伝統・民俗・産業などを紹介し、精神的・経済的活性化を図る活動を行っている。
*同日にオープンした展覧会場では、作品をご覧になることができます。是非ご覧ください。