パトリシア・ピッチニーニ(現代美術家)
「Skywhale」は、わたしたちの世界の内外を文字通り浮遊する、壮大で神秘的な創造物です。彼女(Skywhale)は、世界の息吹を越えて存在するという、信じられないほどの適応性を喚起させ、不可能性と妙な説得力の両方を現出させます。「Skywhale」は、私がこれまで生み出した彫刻作品の中でも、とびぬけて大きなものです。それはどのような水準においても、また作ることを考えるだけでも、巨大なものです。私は、彼女のことを驚きを生み出す装置、また議論の生成者として考えています。 1965年シエラレオネのフリータウン生まれ。1972年に家族と共にオーストラリアへ移住。経済史を学習した後、メルボルンの芸術学校に入校。彼女のマルチメディア作品にはTruck Babiesシリーズや2003年ヴェネツィア・ビエンナーレのオーストラリア代表作品となった展示物「We are Family」など。ピッチニーニの作品メディアは絵画、彫刻、映像、音声、ジオラマ、デジタルプリントなど幅広く、主な主題として生命倫理、バイオテクノロジー、環境を扱う。 |
講義内容
今年で第三回目となるアートプロジェクト・TRANS ARTS TOKO2014。
ヴェネツィア・ビエンナーレにも参加したオーストラリアを代表する現代美術作家 パトリシア・ピッチニーニ氏をお招きし、巨大気球作品「Skywhale」の係留飛行をおこないます。
9月20日(土)・21日(日)・27(土)・28(日)の四日間、
東京のど真ん中の空を、壮大で神秘的な《Skywhale(空飛ぶクジラ)》が泳ぐのです。
この一大スペクタクルをより、深く味わうために、オーストラリアから来日中の
パトリシア・ピッチニーニ氏によるアーティスト・トークを行います。
パトリシア・ピッチニーニ氏の代表作に
2003年ヴェネツィア・ビエンナーレのオーストラリア代表作品となった展示
We are Familyなどがあります。
▲We are Family 2013
人工物が自然のものが区別がつかないほどリアルにつくられた彫刻。
シリコンや人毛をつかって精巧につくりこまれた人間や怪物のような生命体と対峙したとき、
驚きと同時に戸惑い、恐れを感じることでしょう。
それらは原始的でもあり、未来の進化を予言するものでもあるように見えます。
パトリシア・ピッチニーニの作品は生命の賛歌であり、同時に
進みすぎたバイオテクノロジーへの警笛を鳴らしているのではないでしょうか。
「鑑賞者それぞれが自由に解釈してほしい」と作家は語ります。
オーストラリア・キャンベラ市100周年を記念して製作された《Skywhale》は彼女の作品の中でも
膨大な労力・時間・資金を費やして生み出された最も壮大な作品です。
《Skywhale》が東京の空を飛ぶ時、
この生命体の不思議さ、美しさ、特異さに私たちは心奪われることでしょう。
この現実世界が急速にとげている「進化」とは何か、ということを
無言で悠々と空をとぶ《Skywhale》が語りかけてきます。
今回のレクチャーではパトリシア・ピッチニーニ氏のコンセプトをはじめ、
この壮大な《skywhale》プロジェクトをいかに実現したか、
そして今回はじめての日本での飛行にチャレンジする心境について詳しくお聞きします。
TRANS ARTS TOKYO2014のメインイベントとなる
《skywhale》の飛行をより深く味わい楽しむためにぜひご参加ください!