西山有子(森美術館広報・ディベロップメントグループ マネージャー)
美術館の活動は究極のプロダクトアウト型で、広報の第一歩はどうしたら美術館の言うことに耳を傾けてもらうことができるのか、だと思って取り組んでいます。マーケット・オリエンテッドではないアートから動員や売上をどのように生み出すのか、アート業界はもとより様々な業種の方々とぜひご意見交換をしたいと思います。 1989年森ビル入社、文化事業部に配属。新規プロジェクトの立ち上げに参画後、スクール、ライブラリー、フォーラム事業が一体となった教育・研究拠点「アカデミーヒルズ」のコンセプトプランニング、事業の立ち上げに携わる。マーケティングコミュニケーションおよびスクール事務局を経て、2009年3月森美術館に配属、現在に至る。 |
講義内容
各地で毎日のように行われている展覧会、イベント、トークショー。
そのなかで、開催終了後に
「え! そんなのやってたの? 行きたかったのに!!」なんて
思いをしたことはありませんか?
また、展示やイベントの内容は興味深いのに
「全然お客さんがいなかった......」なんてことありませんか?
展覧会やイベントを企画し、かたちにすることも大切ですが
それを知らせることも同じぐらい大切なこと。それが広報の仕事です。
予算や人材が豊富であれば、効果的な広報ができるのか?
答えはノーです。では、効果的な広報活動を行うために必要なこととは?
AFTではさまざまな業種の広報スペシャリストを講師にお招きし、
アート業界の広報について多角的に検証していきます。
「イ・ブル展:私からあなたへ、私たちだけに」展示風景、森美術館 2012/2/4-5/27
撮影:渡邉 修 写真提供:森美術館
"Lee Bul: From Me, Belongs to You Only" Installation view: Mori Art Museum 2012/2/4-5/27
Photo: Watanabe Osamu Photo Courtesy: Mori Art Museum
2012年度、1回目の講師は
森美術館 広報・ディベロップメントグループマネージャーの西山有子さん。
森美術館に所属する以前は、アカデミーヒルズのスクール運営をされていた西山さん。
アート業界以外で得たノウハウを活かしつつ、
現在は現代美術を中心に絵画や建築、ファッションなど幅広いジャンルで
構成された企画展の広報を担当されています。
西山さんに"広報とは?"と訊ねると、こんな答えがかえってきました。
「広報とは、作業の構造と運営の仕組みをつくり、動かしていくこと。
構造と仕組みがしっかりしていれば、どこでも活用できます」
これはアート業界のみに通じる特殊な法則ではありません。
"人に伝わる・伝える"という意味において、どの業界にも言えること。
では、西山さんが実践されている"構造と仕組みのつくり方"とは?
そこには、広報に携わる人のみならず、何かを伝えたい人、
表現に携わる人に向けてのヒントが潜んでいるはずです。